ゲームの成り立ちと戦い方

ゲームの成り立ち

ゲームの実際(シングルスとダブルス)

シングルとダブルスの特徴を見抜き、ゲームに応用できるなら、あなたのゲームのレベルはまた一段と上がるに違いない!

日本ではコート面数の制約から、一部のトーナメントを除けば、現実にテニスはシングルスよりもダブルス中心に楽しまれており、ある観察によればテニスクラブにおいては95%がダブルスゲームであるともいわれている。
またコートカバーリングの未熟さ(?)を補うために、初心者におけるゲームの導入はダブルスから入るのが通常であり、テニスの初心者にとって早くゲームになれるためにも、ダブルスの特徴を理解して練習する事が必要となる。

ここでは、まずシングルスとダブルスの違いを表にまとめた。
テニスはまずゲームである事を理解し、各々の練習(打球法や戦術など)はゲームを楽しむためにあるのだ、と認識してほしい。

シングルス特質ダブルス
単純ゲーム構造複雑
広い攻守の面積狭い
自分のスタイル
想像力 創造力
戦略決められたフォーメーション
人のいないところに打つ
目標の無いところに打つ
戦術相手を目標に打つ
安定したいくつかのショット
深く、力強く、押し込むショット
技術多彩なショット
意表をつく柔らかいタッチ
エースを取れる強いサーブSTサーブ確実かつプレッシャーをかけ得るサーブ
レシーバーを優位に立たせないNDサーブネットにつくための手段
相手のサーブを押し返すレシーブ浅くサーバーの足元に沈むレシーブ
深く持続させるストロークネットにつく手段としての用途
深さとペース(スピード)ボレー角度とタッチ
忍耐力  冷静さ
攻守の使い分け
精神力積極性  攻撃性
攻めきる意志力
持久力  パワー体力敏捷性  反応力
シングルとダブルスの相違

戦略と戦術

ウォームアップ中に相手をよく観察しよう
いろいろなものが見えてきます

相手を見ること

フォア・バックのグリップ(もちろんボレーやサービスも)
どちらがスムースに打てているか

フットワーク
体の真ん中のボールをどちらに回り込むか
動きは軽快か・機敏によく動くか
前への走り方はスムーズか・ロブの追い方はどうか

ボレー(ネットでの動き)
スムーズにラケットが出るのはどちらか
何となくぎこちないか

サーブ
多用する回転は?
角度をつけるのが得意か

相手のタイプとその対応

ストロークのしこり屋に
成功率の低い難しいショットを打たない
ネットに出よう・ネットに出させよう
遅いボールを打って相手に強い球を打たせる

足の速いプレーヤーに
足の速いプレーヤーを走らせてはいけない
相手をコートの真ん中でプレーさせる
相手が届かないところに打とうとするな

バックハンドを狙われたら
必ず返す(無理をしない)
相手に次のプレーをさせる

サーブ・ボレーヤーに対して
遅い緩いレシーブ(パス)を打つ
沈めようとしない…お腹あたりで十分
レシーブでロブを
いろんなショットを打つ…ただし無理をしない

遅く緩いサーバーに
レシーブを前で取ろう
はやる気持ちを抑える

サウスポーに
右側をあけてフォアサイドをねらわせる
相手に考えさせ作戦を変えさせる

ビッグサーバーに
後ろに下がってみる
前進してブロックレシーブで

ポイントやゲームごとに戦略を考える…

ゲームにおいては"どれが大事なポイントだ"などというものはない。すべては同じ重要なものと認識すべきです…落としていいポイントやゲームなどはありえない。
とはいえ、それでも注意すべきポイントやゲーム、流れの認識は必要かもしれません…

  • セットアップポイント
  • セットアップゲーム
  • 試合の流れを左右するゲーム
  • 自分のリードを広げるゲーム
  • 試合の流れを取り戻すゲーム
  • タイブレークを奪うポイント
  • ゲームプランの確認と変更
  • 試合の決着をつけるポイント
    などなど…

ある選手の教え

敬愛するある選手の言葉…

  • ウオーミングアップ中に一番華麗に見えるショットは、一番初めに崩れやすい
  • 相手に「何か特別のことをしなければポイント(ゲーム)がとれない」、と思わせる
  • 相手に良い形で終わらせる

シングルスゲーム

コートは広く相手は好きなところに打ってくる…自分はどこに打っていいのか解らない、どうしたらいいんだ、というのが最初の感想かも知れない。

シングルスの特徴

シングルスは打球(技術と作戦)の戦いである以上に、まず選手その人そのものの戦いであることを理解しないといけない。精神と肉体(体力と技術)を総合力として鍛え、生かす努力を惜しんでは、良いシングルスゲームを戦うことはできない。
相手からのボールをどう打つか(返すか)、というときに最良の解は必ずしも一つではない。ダブルスでは選択の幅はある程度限定されるだろうが、シングルスでは選択肢は無限にあるといってもいい。

だからこそ、シングルスの楽しみがあるといえるし、選手の想像力(と創造力)が試されるところでもある。

全体の作戦

できるだけボールの方向をかえない(来た方向に打ち返す)。
相手から打たれたボールは絶対あきらめないで最後まで必死に追う。
それが相手へのプレッシャーになるのだから…

トス(サーブかレシーブか)
サーブに自信があるなら(自信を持つべく練習するのだが)サーブ権を選択すべきである(1-0/2-1 のように、スコアをリードしていけるから)…昔は基本的にサーブを選んだ…
ただ、ゲーム最初のサーブは緊張感からか落としやすい傾向がある…近年はレシーブ力の向上もあってレシーブを選択する選手も多い。
天候によってはコートを選ぶ。この時は条件の悪い方を選ぶのが普通である。

サーブ
強力なファーストサーブが必要である。
相手の攻撃を防ぐに十分なセカンドサーブを持つこと。

レシーブ
まず相手コートに返すことが最優先される。

インプレー
ボールをインプレーの状態に保つことが重要である。
ボールを相手コート深くに常にコントロールすること…相手をバックコートに追いやっている限り、少なくとも対等の立場に立っていられる。

相手がバックコート相手がネットポジション
自分が
バックコート
シングルではかなり一般的な状況である
基本的にはクロスコートの打ち合いになることが多い…が、もちろん戦術は一様ではない
こうした状況では、相手コート深くにボールをコントロールしておくことが重要になる…相手を前に出させなければ取りあえずは対等の立場に立っていられる
相手は(多くの場合)主体的にポイントを取りに来ている
主導権を相手に握られ、自分はそれに対応を迫られた状況である…適切な選択肢が無いことが多い
とりあえず相手に一度(ボレーを)打たせてみるとよい…それがうまくいけばより大きいチャンスを得ることができる
自分が
ネット
基本的には自分に有利な状況だが、まだ決定的ではない
相手はまず1本のボレーを打たせるべくパスを打ってくることが多い…これをうまく処理できればまずこのポイントを自分のものにすることができる
シングルスではこうした状況はあまりない
どちらが有利かということも無い状況が多いだろうから、状況判断と(技術的)センスで事態を乗り切る、としか言えない ^_^;
自分と相手との対応表

ダブルスゲーム

ダブルスは「2人でやるシングルス」ではない

ダブルスの特徴

シングルス以上に技術とそうぞう力が求められのがダブルスである。
ボールは突然に目の前に現れ、選手の反応力と瞬発力を試そうとする。その時こそ想像力と創造力を駆使して、鍛えたボールコントロールを誇示するのだ… ^_^

サーバーの役割

確率の良いファーストサーブと相手の攻撃を抑え得るセカンドサーブ
十分にコントロールされたファーストボレー

レシーバーの役割

まず、ネットを越してサーブをリターンする事に集中する…レシーブのネットとサイドアウトは絶対避けるべきだ!
ダウンザラインへも忘れずに打っておくこと
ロブで相手陣形を崩す

サーバーのパートナーの役割

レシーブのカット(ポーチ)を常に狙うこと
ダウンザラインへのパスとロブを警戒する

レシーバーのパートナーの役割

サーバーのパートナーによるリターンのカット(ポーチ)に備える
サーバーのファーストボレーのカットを狙う

インプレー

ひとたびサーブが入り、リターンが返った後は、いかに相手の足元にボールをコントロールするか、という技術の戦いになる
パワーも必要だがそれ以上に繊細なタッチと柔軟な判断力、一瞬の決断力が求められる
コントロールすべきときにはコントロールし、打ち込むべきときには打ち込まなければならない

チームのフォーメーション

チームとして取り得るフォーメーションはおおまかに

 ● 二人とも後ろ
 ● 一人が後ろ・一人が前
 ● 二人とも前

の3つで、またそれぞれに相手の対応がある。
各々特徴はあってそれぞれの用途はあるが、最終的な目標は2人が前(ネット)でプレーすることにある。
他の2つはその最終レベルにいたる技術的な一過程か、あるいはゲーム中の非常時に取る体系と考えて良い。

相手が2人ともバックコート相手が1人が前・1人が後相手が2人ともネット
自分たちは
2人とも後
こういう状況はたぶんあまり無い。すぐにどちらかがネットに出て攻撃に移るだろうこの場合自チームにはチャンスはあまり無い。機会を見て一人はネットに向かうべき絶望的状況。ロブなどで2人を後方に追いやり自分たちがネットに出る算段を考える
自分たちは1人が前・
1人が後
ストロークでもボレーでも相手2人のセンターを狙って打てばポイントはこちらのものになる近年はプロでもこうした場面が多い
相手より先にネットに出る算段を考えよう
不利な状況
何とか耐えながら自分たちが前に出るか相手を後ろに追いやる
自分たちは2人とも前有利さを生かしてポイントを奪い取ろう
スマッシュでもドロップショットでも好きにし放題…
これでも有利さはこちらのもの
ボレーをネットにいる相手に打ち込めば…
ダブルスの醍醐味と面白さはこの展開にある
技術と勇気がポイントの帰趨を決める
自チームと相手チームの対応の概念表

誰が左に位置するか

伝統的に”日本では”
  1. 上級者
  2. バックハンドがうまいほう
  3. 左利き
が、左側(アドバンテージサイド)でレシーブする形が一般的である。
しかし世界的にはこうした原則はあまり例がなく、私としては
  1. 精神的・技術的により確度の高い選手 (相手に先にプレッシャーをかけうる)
  2. バックハンドがうまい選手 (バックの逆クロスをうまく処理する)
  3. 左利き (センターにきたサービスをフォアで処理できる)
が、右側に位置すべき有利さをもっと考慮してもいいと考えている。

ダブルスの戦術

サーバー側の戦術レシーバー側の戦術
フォーメーション
・ オーソドックス
・ オーストラリアン
  2人とも同じサイドに位置する
・ Iフォーメーション
  ネットのパートナーはサーバーとレシーバーを結ぶ線上に位置する
※ 特殊殊なものと考えないで、良く練習し慣れることが大切…ダブルスがよりいっそう楽しくなるでしょう。
フォーメーション
・ オーソドックス
・ オフェンシブ
  パートナーはネット近くに
・ デフェンシブ
  パートナーはベースラインへ
※ 攻守にちょうど良いという事は逆の意味で中途半端とかどっちつかずという事でもある…思い切って攻守を明確にしたフォーメーションを考えてもよい
サーバーの考え
レシーバーのバックハンド側へのサーブ
しっかりと打った1STボレー
STボレーはワイドに打たず、センター寄りに打った方が後の展開が楽になる
レシーバーの考え
とりあえずネットを越すことが最優先
サーバーの足元を狙って確率良くリターンする
ネットとサイドアウトは禁物!


サーバーのパートナーの考え
常にレシーブのポーチを狙う!
レシーバーのパートナーの動きを警戒
レシーバーのパートナーの考え
サーバーのパートナーの動きを警戒!
常に1STボレーのポーチを狙う
ダブルスの戦術の概念

2020年6月14日